センスのない保育士
春、年度末。
来年度に向けて、職員の入れ替わりが次々とある。
その中で、自力で国家試験を受けて保育士資格を取得し、正社員希望で入ってきた職員がいた。
その社員、やる気はものすごくあり、明るくて朗らかな社員だったのだが、採用されて、試用期間の1カ月ほどで解雇になってしまった。
理由は、他の社員に嫌われまくってしまったから。
とにかく自分が正社員としてやっていくために、あらゆる情報が欲しいのか、皆にガツガツと言い寄って、必要以上にプライベートなことまで踏み込んでくる。
保育以前に、人格の問題だったという。
肝心の保育はと言えば、対応の仕方、どうしていいか分からないことなど、逐一周りに聞いてきて、一向に自分で考える気配がない。
周囲は、教えてあげても良いが、同じようなことを3回目になると、もううんざりしたと言う。
そりゃそうか。
イチイチ色んなパターンで聞かないと行動できないのなら、それはもう、保育のセンスが無いということとみなされてしまった。
きっと本人は、腑に落ちないだろうが、仕方ない。
この先の負担を考えると、保育園的にも、負担になると思ったのだろう。
とにかくやる気があればいいっていうものでもないんだなぁ…と思った。
確かに、保育はセンスというものが問われる時がある。
誰にでもできるかと言えば、やはりそうではないだろう。
まず、園児の気持ちに寄り添えること。
これからできないとなると、かなり厳しいと思う。
指示ばかりする保育士もいるが、従わない子どもはもちろんいるもので、そうなればなるほど、その保育は苦しいものになるだろう。
保育は本来、子どもたちと一緒に生活することだから、楽しさがあるもので、大人が一方的に指導するものではないと私なんかは思う。
何十人をまとめるのが大変ということも、もちろん分かるけれど…。
とにかく、その保育士は、保育にしても、人間関係にしても、センスがなかったということで、去っていってしまった。
そんなこともあるんだなー、と、台風一過のような気持ちで今、思い返している。