保育園生活

無資格・未経験の主婦が一念発起して保育業界に飛び込んでみた話。保育や園児に関する考察と、子どもたちへの愛を綴ります。

夜間もやってる保育園

映画、「夜間もやってる保育園」を観に行った。

 

夜間保育園は、多様な家庭環境に合わせて、夜間も子どもを預かる保育園のことで、映画では主に、新宿の大久保にある「エイビイシイ保育園」が舞台となっている。

 

こちらの園長が本当に型破りな方で、ご自分の信念で、完全オーガニックの給食や、多様な発達の子どもたちへの療育プログラム、学童保育など、色々なことに挑戦し、将来的には高齢者のための施設と併設することも考えているという。

 

しかも、認可にならなければ、無認可で補助金がなくても厭わないという、完全に利他的な聖母マリア的(?)存在。

 

この人のモチベーションはどこから来るのだろう・・・と思うと、それはご自分の家庭にも関係しているようで、本当に興味深い。

 

でも、ちょっと考えれば、東京など特に、夜に空いている店舗はたくさんあり、夜に働いている人はざらにいるのだから、夜子どもを預かる必要性があるのは当然である。

 

単に今は、夜預けるところがないから、親、特に母親は、夜に働きに出るという選択肢がないだけ。

 

そして、それでもどうしても夜に働かざるを得ない親、ひとり親や外国人家庭、飲食店を営む家庭などが、この保育園の受け皿となっている。

 

私は最初、この映画は、もしかすると、夜間も子どもを保育園に預けるということに抵抗のある人の反感を買うかもしれないなと思った。

 

朝から晩まで子どもを預けて、親と全然一緒にいられない子どもたちのことを考えると、やはりそうだろう。

 

でも、この片野園長は、常に同じ姿勢で言い続ける。


「夜中に放置される子どもが1人でもいる限り、夜間保育園はやる」

 

確かに、要は、社会の構造を根本的に変えないと、子どもが保育されないという現実は変わらないわけで、それゆえ夜間保育園を批判しても的外れなだけだなと思った。

 

そして、親と長い時間離れることが、親子の関係を希薄にするんじゃないかという問いに対しては、「他人がいくら、好き、と言ったって、子どもにとって親は親。特別な存在」だと言い、保育士は、親ができないことをフォローする存在で、親を支援するための仕事だと言う。

 

そう言った一貫した姿勢が、片野園長、そして、この映画の魅力だなと思った。

 

そしてその愛情深さは、やはり園全体に感じられるもので、他のスタッフを見ても、みな子どもやその親をとても大切に思っているんだな、ということが良く感じられる。

 

特に、この保育園の、チーフ保育士の方の言葉は、とても心に残るものだった。

 

「実際私も子育てを経験して、理想は頭にあってもやはりできないことが多くあります。でもやっぱり目の前にいる子どもに愛情を注いで、どんなに時間がなくても、大好きだよ、愛してるよと言葉できちんと伝えることが一番大切なんだと学びました。子どもと経験を共有しながら、ママも失敗することがあるけど一緒に頑張っていこうと・・・」

 

この一言は、私自身の保育に対する姿勢を見直させられたもので、ここから、保育者も一人の人間として、まだまだ子どもと一緒にお互い学んでいける存在なのだと教えられた気がした。

 

「夜間もやってる保育園」、社会問題を取り上げた映画のようで、保育そのもののあり方も提示してくれたような、とても深くて優しいドキュメンタリー映画でした。

 

 

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