保育と子守り
年度が切り替わって、一時保育のお部屋にも新しい子どもがたくさん増えた。
最初から何事もなかったかのように皆に交わって遊び出す子もいれば、部屋に入ってお母さんの腕から離れた途端に号泣で、一日中泣きながら過ごす子もいる。
一時保育は、毎日通う子どもばかりではないので、毎日毎日違う風景が広がる。
そんな中でも、一日中泣き叫ぶ子を見るのはやっぱり辛い。
なんとかしてなだめようとして躍起になるけれども、そんなことはまったく耳に入りません、というような感じで、ただ、自分の置かれた状況に対して全身で表す拒絶反応。
ある意味もっともなことだ。
そういう時はさすがに「可愛い」と思う気持ちは吹っ飛び、自分の立場も忘れて、思わずお迎えの時間ばかり気になってしまう。
何人もがギャンギャン泣く部屋に長時間いることの辛さは、出口のない部屋に閉じ込められたかのよう。
そう、もう思考停止の無になるしかない。
そんな日々が続いていた時に、園長がぽつりと呟いた。
「これじゃあ保育じゃないよね。ただの子守りだわ」
保育経験の浅いわたしには、その言葉の意味が最初ピンとこなかった。
その2つの言葉の差は何だろう・・・?
それから何日か考えて、自分なりの答えのようなものが出た。
子守りは、ただお母さんのいない間に子どもを預かるっていうだけのことだけど、保育というものは、子どもと共に過ごし、その心身の成長を見守りサポートすることなんだな、と。
同じようで確かにまったく意味が違う。
わたしは保育者になれるだろうか。
まだまだ先は見えそうもない。